2011年7月25日

京都府立植物園のパワースポット半木神社

半木神社 京都府立植物園(京都市左京区下鴨半木町) Nikon D80 + Zoneplate

京都府立植物園の案内図を見ると「なからぎの森」が目に飛び込んでくる。四つの池に囲まれ、エノキ、ムクノキ、ケヤキの古木やシロダモ、カゴノキ、シイ、カシ類の常緑樹が混生する貴重な自然林だ。「ながらぎ」は「半木」と書くが「なから木」「なかれ木」「流木」などとも呼ばれたようだ。森の中に朱の鳥居、そして小さな社(やしろ)がある。半木神社である。風雪に侵食され、文字がおぼろげになった駒札によると、賀茂別雷神社(上賀茂神社)の末社で、祭神は天太玉命(アメノフトダマノミコト)とある。さらに神社の歴史として次のように説明が続く。
当神社の御鎮座地を中心とするこの地方は、往古賀茂族が開墾した土地であるが、奈良時代頃から錦部の里と呼んでゐた。これ等の地方が錦部の里と称したのは、古くからこの地に於いて、養蚕製糸の業が営まれ絹織物の生産が盛んであった為である。降って平安時代に入って、後一条天皇の御代に至り、寛仁二年(1018年)十一月二十五日朝廷より正式に賀茂別雷神社の社領地として、錦部郷の名を以て寄進せられた。然るにこれらの産業に携っていた賀茂族と秦族との人々がその職業の守護神として四国の阿波国から、天太玉命を勧請鎮祭した。それが現在の半木神社である。
要するにこの辺りは京都の伝統的絹織物業、すなわち現在の西陣織の発祥地だったらしい。この地が京都府に渡ったのは大正2(1913)年、大正天皇の即位を祝う「大礼記念京都大博覧会」の開催用地として買い上げたものだ。しかし議会等の反対もあり、この博覧会は開催されず、代わりに植物園が計画された。そして大正12(1923)年秋に晴れて開園したという。これは歴史の幸運といえる。植物園というと人工空間と思いがちだが、少なくともこのエリアは自然林である。民間の手に渡っていれば、今ごろ宅地化していたに違いない。平成21(2009)年秋に天皇皇后両陛下が来園されたが、お二人とも植物に詳しいという理由の他に、植物園が皇室と縁が深い歴史を持っているからだろう。ところで半木神社は植物園の守護神であるとともに、今や合格祈願や恋愛成就のパワースポットでもある。多くの木や花が「実を結ぶ」ところから、お守「実守(みのりまもり)」が上賀茂神社で授与されている。

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