2013年12月12日

ピクトリアリズムとピンホール写真

The Onion Field George Davison 1890 (George Eastman House/The Phillips Collection)

写真はジョージ・デビッソン(1854–1930)が撮影した作品で、1890年のロンドン写真協会(後に王立写真協会と改称)で最優秀賞を受賞をしている。当初は「古い農場」と題名されていたが、後に「ねぎ畑」と改称された歴史的写真である。注目すべきは、これがピンホールカメラで撮影された写真であることだ。なぜこの作品がその当時に称賛されたか? その背景には1885年ころから流行したピクトリアリズム(絵画主義写真)があったと想像される。しかし20世紀の初期に最高潮に達したピクトリアリズムは、ご存知の通り1914年以後急速に衰退した。しかしピンホー写真は、独自の歴史的変遷を得たようにも思える。というのはピクトリアリズム批判後も存続したからである。とはいえ遅れてやがて衰退、その復活は1960年代であったことは興味深い。いずれにしてもかつてピンホール写真はピクトリアリズムの影響下にあったにも関わらず、現代では別のカテゴリーと見られてようである。この件に関して再考し、改めて投稿したい。

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