2016年5月30日

オバマ米大統領と核のフットボール

Hiroshima mon amour" by ©José Antonio Rodríguez García
(日本語の題名はアラン・レネ監督「二十四時間の情事」の間違い)

日本経済新聞5月29日付け電子版によると、同社とテレビ東京による27~29日の世論調査で、内閣支持率は56%に上昇、伊勢志摩サミットで議長を務めた安倍晋三首相の働きぶりは62%、オバマ米大統領の広島訪問は92%がそれぞれ評価すると答えたそうである。共同通信が28、29両日に実施した調査では内閣支持率は55%にとどまったが、広島訪問をなんと98%が評価したという。27日、広島の平和公園で安倍首相は「核兵器のない世界を必ず実現する。その道のりがいかに長く、いかに困難な者であろうとも、絶え間なく努力を積み重ねていくことが今を生きる私たちの責任であります」と演説した。安倍首相は官房副長官時代の2002年に、早稲田大学で開かれた田原総一朗氏との対話のなかで「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」と語っている(「サンデー毎日」02年6月2日号)。
核のフットボールを運ぶ軍事顧問(ボストングローブ紙)
二枚舌である。核廃絶を広島で訴えたが上の支持率上昇は、ある意味、改憲ならぬ「壊憲」を目指す現政権運営にとっては逆に足かせになるかもしれない。オバマ米大統領は、同じく広島で「核保有国は恐怖の論理から逃れるべきだ」とスピーチ、日本のマスメディアの異常な絶賛を浴びた。自ら折ったという折り鶴のエピソードがそのダメ押しになったようだ。ところがである、28日付け英国のインデペンデント紙電子版は「バラク・オバマの急上昇したレトリックは、彼自身がミックスした記録と矛盾」という記事を掲載した。特に興味深いのは「91歳の坪井直さん、79歳の森重昭さん、二人の被爆者と抱き合い微笑んだ。(記者は何が語られたか遠くで分からなかったが)鋭い彼らの目はアメリカの大統領が旅行するときに随行する武官を見つけただろう。彼は"核のフットボール"を運ぶ人物である」という下りである。ネット百科ウィキペディアはこの"核のフットボール"を「ワシントンポストの報道によれば、米大統領には核兵器の発射コードとフットボールを携帯した軍事顧問1名が常に随伴している。このフットボールとは、ゼロハリバートン社の金属製のブリーフケースであり、黒い革のカバーで覆われている。鞄の重さはおよそ20キログラムで、持ち手のところには小さなアンテナが伸びている」と説明している。

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