2016年6月6日

喜納昌吉「東崎(あがりざち)」に心酔

Philips S-7025 (1977)

新聞各紙によると、沖縄県議選が昨6月5日投開票され、翁長雄志知事を支える与党勢力が半数を超えた。反基地姿勢を後押しする結果になったが、告示前にうるま市の女性の遺体を殺害遺棄した容疑で、元米海兵隊員で軍属の男が逮捕される事件が発生。反基地感情の高まりが、知事や与党への支持につながったと言えそうだ。知事と言えば2014年の選挙で喜納昌吉氏が立候補するという不思議があった。政治家としての氏には若干疑問を持っているが、音楽家としては素晴らしいの一言に尽きる。
与那国(ゆなぐに)ぬ島に渡て
東崎(あがりざち)登(ぬぶ)て見りば
あん美(ちゅら)さ波ぬ花になゆさ
情き深さ島ぬ心(くくる)あらわす波ぬ花
いちまでんいちまでん眺みぶさ

東崎(あがりざち) 登て見りば
昔(んかし)沖縄(うちなー)うびじゃすさ
あさましいや変てあゝ生まり島
海ん山ん変わるなよ人ぬ心変らすな
いちまでんいちまでぃん東崎

東崎(あがりざち)見りば知ゆさ
人の道生まりたる運命(さだみ)
御万人(うまんちゅ)に知らしぶさあゝくぬ悟(さとう)い
鳥(とうい)ん花ん蝶(はべる)ん共(とうむ)に語ていちぶさや
いちまでんいちまでん忘(わし)らゝん
訳詞
与那国に渡り
東崎に立ってみれば
波の花がすばらしく美しい
情深い島の人たちの心のように
我を忘れ時を忘れて
立ちつくしてしまう

東崎に登って眺めると
昔の沖縄を思い出す
今では変わり果ててしまった生れた島
海よ山よ人の心を変わらせてはくれるな
いつまでもいつまでもこの東崎のように

東崎のあの自然を見れば
人の道 運命がそこにある
すべての人に知らせたいこのすばらしさを
鳥も花も蝶も共に語り暮らしたい
いつまでもいつまでも心にしみて忘れられない
これは1977年にリリースされた「喜納昌吉&チャンプルーズ」の中の一曲「東崎(あがりざち)」の歌詞である。このアルバムは様々な意味で私に衝撃を与えた一枚である。現在、日本のポップミュージシャンは、欧米と違ってそのルーツを持っていない。まさか純邦楽にそれを求めるのは現実的に無理だろう。そういう意味では芳醇な民謡の宝庫である沖縄をベースにする喜納昌吉氏は幸運と言えるだろう。

SoundCloud  東崎(あがりざち): 喜納昌吉&チャンプルーズ(1977年)

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