2016年12月23日

身の丈にあった居酒屋の魅力


かれこれ20年近く前だろうか、大阪淀屋橋の居酒屋のカウンターでかなり大量の血を吐き、救急車で病院に運ばれた。急性出血胃潰瘍だったが、たまたま当直医が内視鏡手術に長けていて一命をとりとめた。入院中は無論禁煙、お陰でヘビースモーカーから脱することができた。当時私は勤務先の新聞社が後援している写真愛好家団体の事務局長をしていたが、今さら謝っても遅いが、喫煙でスタッフに迷惑をかけたに違いないと反省している。というわけで喫煙は絶ったが、飲酒は未だに続いている。ただし昔のように煙草を肴にして飲むようなことがなくなった。かつてアイルランドに二度ほど旅行したが、一番楽しかったのがパブ通いだった。ホテルで夕食を済ますと、パブに繰り出したが、大好きなギネスを呑んだことが懐かしい。アイルランドにはパブランチというサービスがあり、昼は食事できるが、なぜか夜になると肴を摂らない。ひたすら呑むのである。パブを和訳すれば大衆酒場となるが、日本の居酒屋とはちょっとニュアンスが違うようだ。大学を卒業、仕事を始めて先輩が連れて行ってくれたのは、小料理屋あるいは割烹と呼ばれる店で、居酒屋とは微妙な違いがあった。1972年に私は東京に移り住んだが、知り合いになったフォーク歌手の高田渡さんが吉祥寺の居酒屋に誘ってくれた。以来病みつきになり、安価で美味しい居酒屋に通うようになった。京都では花街のお茶屋といった場所で、いささかスノッブな酒の飲み方もしたこともあるが、今はやはり居酒屋が身の丈に合ってると思っている。写真は京都の裏寺町通にある居酒屋「たつみ」だが、椅子席は昼間から満席状態が多い。カウンターで立ち呑みしている女性客がいたりして、世の中も変わったものだと痛感する。

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