2017年8月23日

誰がジャニスのヌードを撮ったのか

Janis Joplin, standing nude. ©1967 Bob Seidemann

印象に残る写真を目にすると、誰が撮ったのか気になるものである。ところが著名なミュージシャンや映画俳優などの写真は、モデルに視線が注がれ、何故か撮影者に関心が向かないものである。ロック歌手ジャニス・ジョプリンの、ビーズだけをまとったフルヌード写真はずいぶん前から知っていたが、撮影者の名前は知らなかった。ところがオークションサイト Invaluable で偶然その拡大コンタクトシートを見つけた。解説によると2009年10月、ニューヨークのスワン・オークション・ギャラリーに出品されたもので "BOB SEIDEMANN (American, b. 1941) Janis Joplin, 1967" という題がついていた。これで60年代から70年代にかけて活躍した、グラフィックデザイナーのボブ・サイデマン(1941-)が1967年に撮影したことが分かったわけだが、あとはネット検索により詳細が芋づる式に判明した。この年、ジャニスはビッグ・ブラザー&ホールディングカンパニーに参加、バンド名を冠した最初のアルバムためレコーディングした。蛇足ながら、アーヴィング・ペンが同じ年にこのバンドを撮影しているが、これは音楽愛好家より写真愛好家の間のほうによく知られているようだ。ローリングストーン誌の特集「ロックスターのヌード20偉大なる瞬間」によると、サイデマンは当時一世風靡していたヒッピー文化の背景に、トップレス写真を撮るつもりだったにも関わらず、彼女はフルヌードに拘ったという。私が知る限りでは、ジャニスのヌードはこれだけだが、アイコニックな写真となった。写真は死後、1972年に公表されたが、そのまなざしにある種の哀しみを感ずる。

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