2017年12月7日

戦争の火種を撒き散らす日米首脳の危険


トランプ米大統領は12月6日、エルサレムをイスラエルの首都と認め、テルアビブから在イスラエル米大使館を移転する手続きを開始すると宣言した。東エルサレムには、ユダヤ教徒、キリスト教、イスラーム教の聖地があり、パレスチナ自治政府は東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置付けている。いわば「宣戦布告」で世界各国が非難、中東和平がいっそう遠のき、緊張が高まっている。パレスチナ自治政府のアッバス議長は「地域の紛争を宗教戦争にしようとする過激派組織を助長する」とともに、米国が和平プロセスでの役割から「撤退を宣言する」に等しいと演説したという。この件に関し安倍首相の談話はまだないが、米国の動きに同調、テルアビブにある日本大使館を移転する可能性もある。ところで政府は、航空自衛隊の戦闘機に長距離巡航ミサイルを搭載するための調査費を2018年度当初予算案に計上する方針を固めたようだ。問題は射程が長いため「敵基地攻撃能力」としての転用も可能であることだ。第二次世界大戦後の日本で練られている軍事戦略は専守防衛である。従ってこのような攻撃型の保有はこの原則に反する。弾道ミサイルなどが発射される前に敵の基地をたたく敵基地攻撃能力について、政府は「自衛の範囲内」で憲法上可能との立場をとっているようだが、果たしてそうだろうか。安倍首相は先月22日の国会答弁で「国民の命と平和な暮らしを守るため」と検討に含みを持たせた。しかし軍事力を誇示することは紛争の抑止にならず、これは逆に「国民の命と平和な暮らしを破壊」しかねない。ホワイトハウス周辺では「トランプ大統領は病気だ」という診断に与する人が増えているとの報道があるという。上院外交委員会議長は「大統領の奇矯な行動は米国を第三次世界大戦への道に押しやりつつある」という懸念を表明したそうである。安倍首相は前言を簡単に翻すので、ホントに自分の発言を憶えてないのかもしれない。だから実は病気じゃないかとフト思うことがある。いずれにしても似た者同士の日米両首脳は、戦争の火種を撒き散らす危険な存在である。

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